Fukushima Water Release

福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の放出

多核種除去設備(ALPS: Advanced Liquid Processing System)

2021年4月、日本政府は福島第一原子力発電所に貯蔵されているALPS処理水の処分に関する基本方針を発表し、国内の規制当局の認可を得た上で、ALPS処理水を発電所周辺の海洋に放出することとしました。その後間もなく、日本政府は、ALPS処理水の放出に関連する計画や活動が安全かつ透明性のある形で実施されることを確保するために、IAEAに対し、これらの計画や活動のモニタリングやレビューの技術的支援を要請しました。IAEAはこのレビューを、世界的な高い安全性レベルを調和させ、そして人と環境を守るための国際的な基準となっているIAEA安全基準に照らして実施することとしています。

IAEA事務局長は、日本及び国際社会に対して客観的かつ科学的根拠に基づく安全性に関するレビューを提供するため、タスクフォースを設置しました。

日本によるこの要請に対するIAEAの取組は、今後数十年にわたるALPS処理水の放出作業がIAEA安全基準に合致しているかどうかを評価するための技術的なレビューと継続的なモニタリングで構成されます。このレビューは、日本から提出された資料及び現地での技術的なミッションに基づいて行われ、IAEAは、日本の計画について以下の主要な安全に関する要素を検証します。

  • 放出されるALPS処理水に含まれる放射線物質の特性評価
  • 使用される機器及び適用・遵守されるべき基準を含め、ALPS処理水放出プロセスの安全に関する側面
  • 人と環境を守るための放射線環境影響評価
  • 放出に伴う環境モニタリング
  • 放出計画の認可、検査及び継続的な評価を含む規制面からの管理

さらに、IAEAは、日本政府及び東京電力が公表したデータの裏付けを行うために、処理水及び環境中の放射性物質のモニタリングを独立した立場で実施する予定です。この作業は、IAEA及び第三者の研究所が共同で行います。

国際的な専門家によるIAEAタスクフォース

IAEAタスクフォースは、ALPS処理水の放出に関連する計画や活動をレビューするために設置されました。タスクフォースは、IAEAの各局や研究所の職員と、アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、中国、フランス、マーシャル諸島、韓国、ロシア連邦、英国、米国及びベトナムからの多様なバックグラウンドを持つ国際的に評価されている11人の専門家で構成されています。タスクフォースのメンバーは、それぞれの出身国の代表としてではなく、IAEAが管理する国際チームの一員として働くことになります。同タスクフォースは、IAEAの安全基準を参照し、客観的かつ科学的根拠に基づいた方法でレビューを行い、国際社会に対して透明性と信頼性のあるメッセージを送ることに寄与することとなります。

IAEAは、このプロジェクトの下での日本への支援を2021年に開始しました。ALPS処理水の放出前・放出中・放出後にわたり支援を行うというIAEA事務局長の約束に沿って、今後長期間にわたって同プロジェクトを継続する予定です。IAEAの技術的なレビューの大部分は、日本の規制当局の認可を得た上で2023年に開始される可能性があるALPS処理水の放出前に完了する予定ですが、継続的なモニタリングと定期的なレビューの活動はその後も継続します。

しかし、福島第一原子力発電所には、なぜそのような水が保管されているのでしょうか? なぜ、処理によってすべての微量の放射性物質を取り除くことができないのでしょうか? そして、IAEAは、どのようにして日本を支援していくのでしょうか?

このような質問に対する回答をこちらにまとめました。

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